クルーズ船

こんにちは。

新緑のアートフェアに観にお越しくださった皆様、本当にありがとうございます。

キャプションの経歴欄を見て驚かれる方が多いのですが、私は美大ではなく鍼灸学校を2012年に卒業しています。

今回展示会には、鍼灸の先生方や医道の日本社の鍼灸雑誌の担当者さんも観に来てくださりました!

大変嬉しかったです。

父が鍼灸あんまマッサージ師として開業しており、小さい頃から後を継いでくれたら嬉しいという親からの期待を背負っていましたが、そんな期待とは裏腹に私は私で絵を描くことがずっと大好きで物心つくころからの夢が画家になることでした。

鍼灸学校に行ったことは正直私の親孝行でもあり、治療や癒しというものに囲まれて育ってきた環境からの好奇心でもありました。当時通っていた絵画教室の先生から「様々な経験をすることで人生が豊かになり良い絵も描ける」という言葉をいただいたことで、鍼灸師という資格を活かしクルーズ船で世界一周をしました。船に乗り様々な人を診ることができたおかげで、輝いている人はその人自身が本当に望むことをしている、そしてそのための努力をすることはとても素晴らしい生き方なのだと思い、そこで船から降りた後は鍼灸師を辞め画家になる決意をしました。

なので私は国家資格としての鍼灸師という資格を持っていますが、それを活用して治療をしたいとか、夢を応援しますという歌い文句の全く関係ないビジネスもしません。

画家として作品をこの世界に残すために描き続けたいのです。

2016年に画家を開業し百貨店の画廊に出展させていただき、見える世界も大分変わりました。

ここで改めて過去を整理する必要があるのかもしれないと思い、先年書いた「クルーズ船の航海日記」をブログで公開することに致します。1万5千字程ありますので連載形式でブログに掲載していきます。私が世界一周した時に撮った写真と一緒に、どうぞお楽しみください。

 

2013年7月18日わたしの運命の歯車はまわった。

その日、第80回 世界一周するクルーズが横浜港大さん橋から出航した。偶然か必然かは分からないが、ちょうど私の生まれた日であり23歳の誕生日を船で迎えることになった。
私はそのとき鍼灸学校を卒業して1年と半年、鍼灸師として未熟な私だったが以前から乗りたいといっていた船の鍼灸院のお仕事と太極拳講師を、任せていただけることになった。他のクルーズのスケジュールと比べて85日という短い期間だったから試しに載ってみないかと言われて、瞬間天に上るくらい嬉しかったのを覚えている。枠が限られているので鍼灸師として乗れる人は通常は一人だったのだが、初めてということもあり何回も乗っているMさんに途中まで乗船してもらうことになった。
乗船当日船が陸から離れていく瞬間、見送りに来た人の声援と音楽で一気にお祭りモードになった。不安と期待の半々がありうまく言葉にならない気持ちではあったけど、私はこれから船の中で唯一マッサージ室のスタッフなんだと思ったら今更ぐだぐだ言うわけにいかない。いい、悪い、好き、嫌いがはっきりしているので、自分自身がぐだぐだしていることが嫌なのだ。そう思い気持ちを切り替え、乗船日は船の中を探検して回ることにした。